留学先としてのルクセンブルク大学


まだまだ新しいルクセンブルク大学

国内唯一の大学として創設されたのは2003年のこと。
欧州各地には数百年もの歴史を誇る大学がある中で、ルクセンブルク大学は国の経済ニーズに応える形で創設されました。

それまでルクセンブルクの高校生が大学に行く場合は、ドイツやフランス、ベルギー、オランダ、オーストリア、スイス、イギリスなどの近隣諸国やアメリカなどに進学するしか方法はありませんでした。

現在でも、複数の言語を操る多くの学生はルクセンブルク大学のみならず、近隣諸国の大学に進学しているようです。もちろん、どこの国の大学に進学しても政府から経済的な援助があるため選択肢が広がった形になります。

ルクセンブルク大学の創設にあたり、国内には賛否両論ありました。
莫大な予算を使い大学を作って、果たして学生が集まるのか。国内の学生が海外の大学に進学する流れは変わらないだろう。



しかし、結果は大成功と言ってよいのではないでしょうか。

それはルクセンブルク大学には、はっきりとした目的があったからだと思います。

ルクセンブルクや世界の未来を担うだろう人材が世界中から集まっています。

もともと研究に力を入れている大学のため、修士課程や博士課程に加え研究者も多く在籍しています。学部に関しても、ヨーロッパはもちろん世界中から多種多様な学生が集まります。学部時代に交換留学(Erasmusなど)で来た学生が、マスターの取得のために戻ってくるケースも多くあります。

国内の高校生が進学するための大学として設立されたわけではなく、世界中の多種多様な学生や研究者が集まる場所として作られたのです。



何が学べるのか

ルクセンブルク大学で学べる内容は、Bachelor と Master などで少し異なります。

当然ながら、修士はより専門的な内容を学びます。中には他の大学がなかなか開講していないようなコースもあります。また国の主力産業のニーズに応じて、年々新しいコースを追加しているようです。

とは言っても、学部はざっくり3つしかなく学科で細分化、大学院はコースレベルで細分化されています。

  • Faculty of Science, Technology and Communication
  • Faculty of Law, Economics and Finance
  • Faculty of Language and Literature, Humanities, Arts and Education

詳しくはホームページに記載されているので、魅力的な分野をいくつかピックアップしたいと思います。

まず要注意なのは、学ぶ分野によって使用言語が異なるということです。

Masterのコースのほとんどは、英語またはフランス語と英語になります。
割合としては英語のみが多く、正規の学生でも英語のみで勉強している学生が多くいます。

Bachelorの場合は、正規の学生は少なくとも英語とフランス語の両方ができないと厳しいようです。交換留学生は英語の授業を選択して履修することができますが、分野によってはほとんどがフランス語であったり、ほとんどがドイツ語ということもあるので注意が必要です。

特に法律関係はフランス語の授業が多く、英語で履修できる授業はあまり多くありません。また心理学はドイツ語が必須でしょう。その他、経済やマネジメント関連はフランス語での開講が多いですが、英語での授業もそこそこあるため履修に困ることはありません。

言語や文化系は、それぞれの学科ごとの言語が必須となります。ただし正規の学生は複数言語できることが前提で入学しているため、自ら選んで授業を履修する必要がありそうです。

他学科や他学部の授業の履修に関しては、正規の場合あまり認められませんが、交換留学生には寛容です。特に欧州圏外からの留学の場合は、共通の基準や要件もなく相手も勝手がわからないため、「自分はこの授業を取りたい」と言い張って、自分の大学の要件も問題ないと言えば大抵取れます(笑)

ルクセンブルク大学が強みとしている分野はたくさんありますが、ICT関連技術や医療分野などの研究分野はその一つでしょう。

様々な機材や研究予算がたくさんありますし、企業との共同で開発するケースが非常に多いです。

その他、マネジメントやバンキングなどは実業界で活躍していた先生・教授たちが教えているため日本の大学でありがちな机上の学問や理論を学ぶスタイルとは大きく異なります。もちろん理論も学びますが、より説得力のある実学を学ぶことができるでしょう。

そして言語学。ルクセンブルクは類い稀な多言語国家です。よくスイスやベルギーなどとも比較されますが、これらの国とは決定的に異なる点があります。言語教育(Language Education)や言語習得(Language Acquisition)、多言語主義(Multilingualism)、複言語主義(Plurilingualism)などに興味があれば最適な留学先とも言えるでしょう。

私は上智大学でも学んでいた社会言語学(Sociolinguistics)とマネジメントをルクセンブルク大学でも学際的に学んでいました。



まだまだ発展中

まだまだ問題もあります。
例えば、履修のプラットフォームがしっかりしていなかったり、まだ手探りなところがあります。

しかし、学生がのびのび勉強でき、やりたいことに没頭できる環境を整えようと日々進化し続けているのがはっきりとわかります。

私は間に合いませんでしたが、2018年9月にはメインキャンパスの Belval に大きな図書館ができました。中には仮眠できるような場所や自分のスタイルに合わせて勉強ができる様々な区画があるようです。

その他、起業に興味があればインキュベーターが様々なイベントや機会を提供してくれますし、就職活動イベントはもちろん、EU機関を訪問する機会など、飽きることがありません。

私はそんなルクセンブルクに留学してよかったと心から思っています。


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4 コメント

  1. こんにちは。
    ルクセンブルク大学に正規入学しようと思っている者です。今、海外に住んでいて英語は話せます。ルクセンブルク大学のインターナショナル生の欄を見たら、taught language English/ Frenchとなっています。しかし、このブログを読ませていただいたところ、Frenchもできないとだめらしいのですが、やはりそうなのでしょうか?また、ルクセンブルク大学の良いところなど詳しく教えていただけると嬉しいです。お願いします。

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  2. こんにちは!コメントありがとうございます。言語に関してですが、BachelorかMasterか、どの分野かによると思います。Bachelorの法学系や経済系はフランス語がないと卒業に必要な全ての単位の取得は難しいです。Masterは英語だけでもOKの場合も多いです。ContactやFacebookなどからご連絡いただければ、オンライン電話などでご相談に乗りますよ!

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  3. 現在大学3年生で、大学を休学してフリームーバーを利用し1年間ルクセンブルク大学に留学に行こうと考えています。複言語社会や経済系を取りたいと思っていますが正規留学でない場合は、他の言語が全然できていない場合でもなんとか行けるものなのでしょうか?ルクセンブルクの留学は探してもなかなか出てこないので主様のブログで色々勉強させていただいています!

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    1. Haruko-san, ご返信が遅くなりすみません!また全く更新していないブログにコメントいただきありがとうございます。
      EU圏外からの学生は比較的自由に受講することができますが、学科によって授業の時間数やコマ数が異なるので上手に組み合わせる必要があります。例えば言語系は1コマ90分が多いのですが、経済系は180分以上の授業が多く試験前は授業はなくなります。授業で利用される言語ができれば受講自体は問題ないと思います。

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